会社の節目を祝おう!周年記念Webサイトの作り方と参考例
2025.12.23 Posted by Design team

企業にとって、周年の節目は単なる記念ではなく、ブランドを再定義し、社内外に向けて未来のビジョンを発信する好機です。特にWeb上で展開する周年記念施策は、オンライン上での存在感を高めると同時に、企業のこれまでの歩みとこれからの方向性を整理・発信できる手段として注目されています。
私たちウェブラボも2024年10月に創業20周年を迎え、自社サイトにおいてトップページのビジュアル変更や記念ロゴの掲載といった施策を実施しました。その実体験を踏まえ、この記事ではWebにおける周年記念プロジェクトの目的、効果的な制作のポイント、プロモーション方法までを具体的に解説していきます。
目次
1. 周年記念施策とは?目的と効果を整理
周年記念のWebプロジェクトは、企業がこれまで築いてきた信頼や顧客やパートナー企業との関係性を再認識し、次のステージに進むための重要なブランディング施策です。特にBtoB企業にとっては、単なるPRの枠を超えて、取引先との信頼関係を強化し、社内外のステークホルダーに企業の安定性と将来性を印象付ける機会となります。以下では、主にBtoB企業の視点から、周年施策の目的と効果を詳しく見ていきます。
1.1 企業信頼性の強化と再確認
BtoBのビジネスにおいては「信用」が何よりも重要視されます。周年記念という節目は、「長く続いてきた会社であること」の証明になります。創業10年、20年、50年と続いている企業であることを明確に発信することで、安定性と継続性への信頼を高め、既存顧客や新規リードの安心材料になります。周年記念サイトを制作し、沿革や導入実績、お客さまの声などをまとめることで、信頼性を定量・定性的にアピールできます。
1.2 ステークホルダーとの関係深化
周年記念は、顧客や取引先、パートナー企業への感謝の気持ちを伝える絶好の機会です。Web上でのメッセージ掲載や、関係企業からの祝辞を紹介するコンテンツなどを盛り込むことで、相互の関係性がより強固になります。また、業界内外の関係者に対して「この会社とは長く関係を続けていきたい」と思わせるためのきっかけにもなります。
1.3 採用ブランディングと組織の一体感
BtoB企業は一般的に求職者からの知名度が高くないことも多く、採用活動において企業理解を促す工夫が求められます。周年記念サイトで、創業のストーリーや経営理念、ビジョン、社内文化を発信することで、求職者に対する企業の魅力を高めることが可能です。また、社内に対しても「節目をみんなで祝う」ことで帰属意識が高まり、一体感の醸成につながります。社員インタビューや社内イベントの様子をWebで共有するのも効果的でしょう。
1.4 中長期的なビジョンの提示
周年記念サイトは、過去の実績を振り返るだけではなく、今後のビジョンや戦略を提示する場としても活用できます。特に既存顧客に対して、「この企業は将来どうなっていくのか?」という問いに対し、明確な方向性を示すことで、継続的な取引を促進できます。経営層による未来志向のメッセージや、新規事業・開発予定の発信などが効果的です。
1.5 競合との差別化とメディア露出の機会創出
同業他社との差別化にも周年施策は寄与します。特に他社が節目を迎えていない時期に、自社が堂々と「20周年」の旗を掲げることはブランド優位性につながります。また、プレスリリースなどによって、業界媒体・地元紙・ビジネス系Webメディアなどでの掲載・紹介を狙うことも可能です。周年をきっかけにWebアクセスが一時的に伸び、その後の導線設計次第で見込み顧客の獲得にもつながります。
1.6 ESG・社会貢献との接続
近年の企業価値評価においては、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGsなど社会的要請への対応も重視されています。周年記念サイトで、これまでの社会貢献活動の紹介や、今後のサステナビリティ方針などを発信することで、企業としての社会的責任に対する姿勢もアピールできます。これは大手取引先や自治体、金融機関などとの取引においてもプラス要素となります。
1.7 まとめ
周年記念施策は、単なる祝祭や装飾的イベントではありません。特にBtoB企業にとっては、「信頼」「継続性」「将来性」といったビジネスに直結する価値を発信する重要な機会です。周年という節目を、関係性の強化とブランド価値の再構築の場として最大限に活用していきましょう。
2. 実例紹介:ウェブラボ20周年施策の裏側
当社では、20周年を迎えるにあたり、以下のようなWeb施策を実施しました。
2.1 トップページのビジュアル刷新
第一印象となるトップページを、20周年仕様のメインビジュアルに刷新。ブランドカラーやロゴと連動させ、記念感と統一感を持たせました。

2.2 記念ロゴの制作と活用
20周年を象徴するロゴを社内でデザインし、Webサイトのヘッダー、メールマガジン、年賀状などに展開。シンプルながらお祝いムードのあるデザインを心がけました。

2.3 社内報で20周年史と社員座談会を掲載
設立からの20年間の主な出来事など画像を交えて振り返る20周年史を作成しました。コーポレートサイトに掲載している会社沿革とは異なり、社内イベントなどの小さな出来事も写真つきで掲載することにより社歴の浅いメンバーにも創業初期の雰囲気や、会社の成り立ちを追体験してもらうことを目的としています。
また、代表の山浦とそれぞれ社歴の異なるメンバーで座談会を行った記事も掲載しました。20年を創業期・拡大期・コロナ禍から現在の3つの期間に分けて振り返るインタビューを行い、未来への展望で締めくくる全3回の連載企画は、ウェブラボでも初の試みでした。
インタビュー前に座談会に参加しないメンバーから質問を募ったこともあり、自社サービスの命名由来やロゴマークに込められたブランドポリシーなど、思いがけず初耳の情報を知り、より一層愛着を持つことができました。

3. 効果的な周年記念サイトの作り方
周年記念サイトには「伝えたいこと」と「見せ方」の両面で工夫が必要です。
3.1 コンセプト設計のポイント
3.1.1 原点回帰:創業の想いや歩みを伝える
「なぜこの会社が始まったのか」「創業者は何を想い、何を目指したのか」といった“原点”に立ち返るコンセプトです。会社のルーツや、創業当初の苦労・突破口などを丁寧に掘り起こすことで、企業のアイデンティティを再確認し、ステークホルダーに誠実な姿勢を伝えることができます。

タカラトミーは、創業100周年を記念して特設サイトを公開しました。コンセプトは「原点回帰」と「未来への挑戦」を融合させ、「おもちゃの会社から、アソビ会社へ」という企業としての変遷と進化を体現しています。創業者の理念を忠実に継承しながら、次世代への想いを届けるデジタルストーリーテリングが特色です。
創業者・富山栄市郎が掲げた「世界市場をおもしろくせよ」の理念や、安全で信頼あるおもちゃづくりの精神を、新社長・会長のインタビューを通じて改めて発信し、創業当時からの想いや歴史的変化を振り返りつつ、従業員や社会への感謝の意向を表明しています。
タカラトミー100周年記念サイトは「原点」を大切にしながら、「遊び」という本質を「未来の価値」として撒き直す、非常にバランスの取れた原点回帰型サイトです。BtoB企業においても、創業期の想いを丁寧に掘り起こし、その想いを未来にもつなげるストーリー設計は大いに参考になるでしょう。
3.1.2 未来志向:これからのビジョンを語る
過去を振り返るだけでなく、未来に向けた姿勢や方向性を伝えるのが「未来志向型」のコンセプトです。新規事業の紹介や、研究開発の方向性、業界の変化にどう対応していくかなど、「この会社と一緒に未来を築ける」と思わせる内容が重要です。

小学館「0から考えよう。」は、100周年を「0=ゼロ」の節目と捉え直し、新たなスタートを象徴する思考の場としたユニークなアプローチです。キャッチコピーの「0から考えよう。」には、出版事業の原点に立ちつつ、既成概念を壊し、ゼロベースで未来を創造しようという意志が込められています。
単なる周年記念を越え、100周年の節目を“挑戦への出発点”と捉えた未来志向型サイトの秀逸事例です。BtoB企業の周年サイトでも、これと同様に「未来の自社・未来の顧客」への問いかけを発信し、新たな価値創造に取り組む姿勢を可視化する設計は大いに参考になります。
3.1.3 共感重視:人やストーリーで心を動かす
周年記念サイトにおいて、関係者や顧客、社員の「人となり」やエピソードを中心に据えるスタイルも効果的です。共感を重視した構成にすることで、企業としての人間味やリアルさを感じてもらうことができます。
実例:楽天グループ25周年

楽天グループは2022年に25周年を迎え、周年サイトの主軸として「共感」を軸にしたストーリーテリング設計を採用しました。約25年に渡り楽天と歩んできた「出店者」「ユーザー」「企業」を主役に据えることで、企業とステークホルダーの“共創の物語”を丁寧に描いています。
長年出店しているユーザーや店舗オーナーにインタビューを行い、自らの「楽天での歩み」や思い出を語ってもらう形式で、個別の体験が企業成長の証として映し出されています 。
「CHALLENGE #FUTURE」の企画では「応援する」ボタンを押すと、楽天から関連団体へ寄付されるキャンペーンを実施。利用者の小さな行動も「未来への応援」に変える共感型施策でユーザー参加型の仕掛けによって、単なる受け身の記念ではなく、双方向の共感を生む場となります。
3.2 定番コンテンツ例
周年記念サイトには、ある程度“定番”とされるコンテンツ構成があります。ターゲットや目的に応じて取捨選択・アレンジし、自社に最適な見せ方を検討しましょう。
3.2.1 企業年表・沿革
企業の成長の軌跡を時系列で示す基本コンテンツです。単なる出来事の羅列ではなく、時代背景や業界動向と絡めて紹介することで、より読者の理解が深まります。インタラクティブなタイムラインUIも人気です。

3.2.2 トップメッセージ・ビジョンステートメント
代表者や経営陣からの「節目に寄せる言葉」は必須コンテンツです。過去の感謝だけでなく、今後の方針や社会における自社の役割を明確に伝えましょう。

3.2.3 社員・関係者インタビュー
社員の声や、長年の取引先・協力企業からのメッセージなど、「人」に焦点を当てたコンテンツは共感を生みやすく、企業文化の発信にもつながります。文字インタビューでも、写真や動画を交えると効果的です。

3.2.4 記念ロゴやビジュアルコンテンツ
周年のために用意した記念ロゴやキービジュアルを軸に、全体の統一感を演出しましょう。Webだけでなく、名刺・封筒・SNSアイコンなどでも活用することで、ブランドの一貫性を高められます。

3.2.5 キャンペーン・プレゼント企画
ユーザーとの接点を強化したい場合、記念キャンペーンは有効です。例えば、クイズ形式の歴史紹介ページに応募導線をつけるなど、エンタメ要素と連携させることで、サイト滞在時間や認知拡大に貢献します。

3.3 まとめ
周年記念サイトは、企業の過去・現在・未来を総合的に発信することができる「ストーリーメディア」と言えます。コンセプトをしっかり設計し、適切なコンテンツを配置することで、一過性ではない価値あるサイトに育てていくことができます。特にBtoB企業においては、信頼と共感の両軸を丁寧に設計することが、差別化と継続的な関係構築の鍵となります。
4. 成功するための広報・プロモーション戦略
周年記念サイトは、制作して終わりではありません。むしろ公開後、どのように認知を広げ、社内外へ効果的に届けるかが成功の鍵となります。特にBtoB企業の場合、ターゲットとなる顧客層は明確である一方で、日常的に情報が届きにくい傾向もあります。そのため、戦略的にプロモーション設計を行うことが重要です。
4.1 社内外での認知拡大施策
4.1.1 社内への浸透
周年施策は、社内の一体感づくりや社員のモチベーション向上にもつながります。イントラネットへの特設ページ設置や、社内報・朝礼での紹介、記念グッズの配布などを通じて、周年を「会社全体の節目」として共有することが効果的です。
4.1.2 社外への拡散
取引先や業界関係者、見込み顧客に向けては、次のようなチャネルを活用しましょう。
- メール署名:周年記念ロゴや特設ページへのリンクをメール署名に追加し、日常のやりとりの中で自然に周知。
- プレスリリース配信:業界紙やビジネスメディア向けに情報発信。新ビジョンや新サービスと絡めて訴求すると掲載率も向上。
- SNS:会社の公式SNSアカウントを活用し、ビジュアル付きで定期的に投稿。社員のリポストも促し、リーチを広げる。
- 名刺・封筒・営業資料:リアルな接点においても周年ロゴの使用を徹底し、記憶に残る演出を。
4.2 一過性にしないための工夫
周年はあくまで「通過点」であり、「過去を振り返る」だけでなく、「未来につながる活動」として設計することが大切です。キャンペーンを年内複数回に分けて実施したり、周年コンテンツを採用サイトや会社案内資料に再利用したりすることで、長期的な活用が可能になります。
5. 周年記念プロジェクトの進め方とポイント
周年記念サイトの企画から公開まではプロジェクトの規模によっても増減しますが、おおよそ6ヶ月~1年を見込むのが一般的です。特にコンセプト設計や社内調整に時間がかかるため、余裕を持ったスケジューリングが不可欠です。
5.1 進行フローの基本
5.1.1 初期企画・社内合意形成
- 経営層の意向確認
- 予算とゴールの設定
- 社内プロジェクトチームの編成
5.1.2 コンテンツ設計・制作
- サイト構成、原稿作成、デザイン制作
- 社員・取引先インタビューなどの素材収集
5.1.3 実装・検証・公開準備
コーディング、テストアップ・検証、公開日設定
5.2 社内巻き込みと外注のバランス
すべてを内製するのは現実的ではない場合が多いため、ディレクションやインタビューなど一部を外部に依頼するなども検討しましょう。周年記念に強い制作会社と連携することで、企画の整理やビジュアル面の品質を高めることが期待できます。
6. 周年を次につなげる:サイトの「その後」
公開後の周年サイトは、以下のように“再活用”していくことで、より広い価値を生み出します。
6.1 通年キャンペーン・採用活用
周年コンテンツは、以下のような場面で再活用できます。
- 採用ページに社員紹介やビジョン動画を流用
- メールマガジンのバックナンバーに周年インタビューを掲載
- イベントや展示会で記念コンテンツを紹介
6.2 サービスや事業紹介への展開
周年コンテンツと並行して、新サービスやプロジェクトを紹介することで、未来志向の印象を強化できます。たとえば、「20周年記念プロジェクト第1弾」として新事業を発表するなど、戦略的な連携が可能です。
7.まとめ:周年は“会社を語るチャンス”
周年記念サイトは、単なる過去の記録や祝い事ではなく、「自社をどのように見せるか」を戦略的に見直すチャンスです。
私たち自身も20周年を迎え、自社サイトのトップビジュアルやロゴの更新を行い、過去の歩みとこれからの方向性をWeb上で再構成しました。制作を通じて、自社の強みや文化、課題までを俯瞰できたことは大きな収穫でした。
周年は「節目」ではなく「始まり」。次の10年に向けて、自社らしさを改めて言語化・可視化する機会として、ぜひ前向きに活用してみてください。
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