Webのプランニングは実数字で考える

4月に入社した新人向けの研修がちょうど折り返し地点です。
新人研修は毎年少しずつブラッシュアップしていってます。
最初は一般的なスクール形式で一生懸命教えていたのですが、実際にやらせないと全然身につかないということがわかり、年々、ワークと宿題が増えていって、今や思いのほか、スパルタな研修になってきてしまいました(笑
HTMLをはじめとする技術研修から始まり、制作ワークフロー、顧客の購買行動とWebサイトの役割、そして今ちょうど反響を得るためのプランニング部分の研修をしています。
当社は、ただ単にデザインをキレイにして終わり、というようなプロジェクトは少なく、クライアントからは、
“現状月に1件あるかないか位の反響をリニューアル後はコンスタントに月10件得られるようにしたい!”
というようなオファーをもらうことが多いです。
その時に、何となくコンテンツを増やしてデザインをキレイにすれば月に10件いくかもしれない、というような希望的観測だけの提案はまずい。(でもそういうWeb制作会社が多い!)
■例えば、月間で1000アクセスあり、反響が1件のWebサイトがあったとします。
この場合、コンバージョン率は0.1%です。
もし10件の反響が得たいなら、
・アクセス数を10倍にする
・コンバージョン率を1%まで改善する
・もしくは、アクセス数を2倍にして、コンバージョン率を0.5%まで改善するetc
まずどのくらいのパフォーマンスを出さなければならないかを算出してみます。
その後に、それが実現するプランを立てる必要があります。
■反響数を10倍にするために、アクセス数を2倍にして、コンバージョン率を0.5%まで改善するという目標を立てたとしましょう。
そうしたら、絶対にアクセス数が2倍になる企画、コンバージョン率が0.5%に改善しそうな企画を立てる。
SEOで1位をとっても、そこからWebサイトにアクセスする人は3割程度です。
だから、例えば月間1000件の検索数のキーワードで1位をとれても、Webサイトの月間アクセス数は300件しか増えません。
アクセス数を2倍にするには、今上位表示されているキーワードとは別に、新たに月間検索数が3333件以上あるキーワードで1位をとるか、複数のキーワードでそれと同等のアクセス数をカバーする必要があります。
それが難しいならば、リスティング広告を打つなどする必要があります。
コンバージョン率を0.1%から0.5%にするのも同じように、直帰率や離脱率の多いページの改善や新規ページの追加によってどれだけの数値が改善されるか、を考えていきます。
全てが数値で計算できるわけではないですが、少なくとも「この程度の企画じゃ、アクセス数2倍、コンバージョン率5倍は無理だよね!?」というのが何となく分かります。
デザインキレイにするだけじゃ、絶対に反響率は10倍にはならない。
■机上の空論かもしれませんが、机上の空論とは言い換えれば仮説であり、もし成果に不足があっても、仮説があることで、その後のPDCAがまわせます。
机上の空論すら成り立たないような希望的観測だけの企画では成果は出ないし、PDCAも回せません。
関連記事こちらの記事も合わせてどうぞ。
山浦 仁 / ウェブラボ株式会社 代表取締役
大学卒業後、大手Web制作会社にてWebディレクターとして数多くの国内大手企業のプロジェクトに携わる。2004年にウェブラボを設立。2007年には中小企業向けのWeb制作ノウハウとCMS機能をパッケージにした「サイト職人CMS」を発表。現在は、中小企業だけでなく大手企業からの引き合いも多く、Webコンサルタントとしても活動中。上級ウェブ解析士。全日本SEO協会認定コンサルタント。