DNS切り替えに時間が掛かるのはなぜ?
DNSの切り替え作業をしていると、「遅いな。本当に、正しく作業できたのだろうか。」と疑問に感じることがあるでしょう。しかし、DNS切り替えに一定の時間を必要とするのには、明確な理由があります。ここでは、DNSの基礎知識や切り替えに時間がかかる理由について解説します。
DNSとは
DNS(Domain Name System)とは、インターネット利用者のドメインネームを管理するためのシステムのことです。非常に簡単に説明すると、IPアドレスとドメインを紐付けているものと言えます。DNSがなければ、快適なインターネット環境を実現することは困難です。
DNSの仕組み
IPアドレスとは、コンピュータの住所のようなものだと考えてください。通信時には、この住所を利用して特定のホームページへアクセスします。ドメイン名とは、IPアドレスをユーザーが閲覧しやすいように視覚化したものです。
コンピュータはIPアドレスしか認識できません。「それならIPアドレスだけで良くないですか?」と思うでしょう。しかし、そうなると今後は人間が困ります。下記のようなデータでは、人間がデータの取り扱い時にミスをする可能性が高くなります。
127.0.0.1
255.255.255.0
したがって、コンピュータが閲覧するときはIPアドレスを、人間が閲覧するときにはドメイン名を、それぞれ表示するように変換する必要があります。このIPアドレスとドメイン名を変換する仕組みがDNSです。
ドメインとIPアドレスの変換には①~⑩の処理が行われますが、毎回全てを行うのは非効率的なので、②~⑨の結果はDNSキャッシュサーバに保存されています。 DNSキャッシュサーバのキャッシュは任意に設定されたタイミングで更新されます。
サーバ移転時の設定
まず、サーバ移転をする際は下記の情報を確認してください。ドメイン名と旧サーバのIPアドレスと新サーバのIPアドレスが必要です。
ドメイン名:xyxyxy.co.jp
旧サーバのIPアドレス: yyy.yyy.yyy.yyy
新サーバのIPアドレス: xxx.xxx.xxx.xxx
ドメイン名のDNSサーバへアクセスして、該当するIPアドレスを旧サーバから新サーバに書き換えてください。これにより、ドメイン名のIPアドレスの問い合せに、旧サーバのIPアドレスではなく、新サーバのIPアドレスが返されるようになります。
DNSキャッシュサーバのデータの書換え
IPアドレスの変更が完了したら、DNSキャッシュサーバのキャッシュが更新されるのを待ちます。世界中には数多くのDNSキャッシュサーバがあり、それらが同期を取りながら順次書き変わっていくため一斉に切り替わることはありません。
インターネットを閲覧する時、どのDNSキャッシュサーバを参照するかは指定できません。また、そのDNSキャッシュサーバが書き変わっているかを調べることも困難です。クライアントによって、新サーバを見に行ったり、旧サーバを見に行ったりするのはそのためです。
参考までに、DNSのデータの書換えには、1日~3日かかると言われています。
・ネームサーバの変更:数時間から72時間程度必要
・DNSレコードの登録や変更、追加、削除などの手続き:数時間から24時間程度必要
上記は、手続き完了にかかる目安です。そのため、ある程度余裕をもって作業に着手したほうが良いでしょう。
反映を早める方法はあるの?
DNSの切り替えの反映を早める手段というものはないのでしょうか。残念ながら、切り替えを早める方法はありません。先ほども申し上げた通り、DNSキャッシュサーバは世界中にありそれぞれが自動で同期を取っているので、そのどれかに処理を行うというのは現実的ではありません。
DNSは、負荷を軽減するために、キャッシュデータを有効に利用しています。キャッシュデータとは、過去に取得した情報を再度利用できるように、記憶しておくデータのことです。このキャッシュデータこそが、DNS切り替えに時間のかかる原因となっています。
まとめ
サーバ移転にあたってDNSの切り替えには、時間がかかりますがじっと待つしかありません。なお、SEO的には閲覧先がないと良くないので、新旧が完全に切り替わるまでは旧サーバは削除しないようにしましょう。完全に切り替わっていない状態で旧サーバを削除してしまった場合、旧サーバを見に行った際に閲覧先がないと、Googleから悪質サイトと判定されSEO的に不利になる可能性があります。
メールサーバの引っ越しについてはこちらもご参照ください。
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