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ECサイトの景品表示法チェックリスト 商品ページ・セール・SNS広告のNG表現と対策

2026.07.09 Posted by

ECサイトの景品表示法チェックリスト|商品ページ・セール・SNS広告のNG表現と対策

 

ECサイトを運営していると、商品ページ、バナー、LP、メルマガ、SNS投稿など日々さまざまな場所で商品やサービスの魅力を伝えることになります。

「今だけ50%OFF」「満足度No.1」「売れています」「これを使えば効果を実感できます」こうした表現は、売上を伸ばすためによく使われるものです。しかし、内容によっては景品表示法に抵触するおそれがあります。

 

景品表示法は正式には「不当景品類及び不当表示防止法」といい、商品やサービスの内容・品質・価格・取引条件などについて、消費者に誤解を与える表示を規制する法律です。ECサイトの場合、購入前に商品を手に取って確認できないためページ上の説明や写真、広告文の影響が非常に大きくなります。そのため、実店舗以上に「どのように表示するか」が重要になります。

目次

1. ECサイト運営で景品表示法が重要になる理由

ECサイト運営で景品表示法が重要になる理由

1.1. 景品表示法は「大げさな広告」だけを取り締まる法律ではない

景品表示法というと、「明らかなウソの広告」や「悪質な誇大広告」を取り締まる法律というイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし実際には、悪意がなくても問題になるケースがあります。

 

たとえば、過去に販売実績のない価格を「通常価格」として表示したり、根拠が不十分なまま「業界最安値」「満足度No.1」と記載したりすると、消費者に実際よりも有利・優良な商品だと誤解させる可能性があります。

 

EC運営の現場では売上を上げるために少し強めの表現を使いたくなる場面があります。ですが、その表現が「事実として説明できるか」「根拠を示せるか」を確認しないまま公開してしまうと景品表示法違反につながるおそれがあります。

景品表示法は単に広告表現を制限するための法律ではありません。消費者が商品やサービスを正しく比較し、納得して購入できるようにするためのルールです。

1.2. ECサイトでは「表示」が購入判断に直結する

ECサイトでは、消費者は商品を直接手に取ることができません。
サイズ感、素材、使用感、色味、価格、キャンペーン条件などを商品ページや広告に書かれた情報をもとに判断します。つまり、ECではサイト上の表示そのものが、購入判断に大きく影響します。特に注意したいのは、以下のような表示です。

  • セール価格や二重価格表示
  • 「期間限定」「数量限定」などのキャンペーン表記
  • 「No.1」「最安値」「高評価」などの比較表現
  • 健康食品・化粧品・美容商材などの効果効能表現
  • レビュー、口コミ、インフルエンサー投稿
  • アフィリエイト広告やSNS広告

これらはECサイトで日常的に使われる表現です。だからこそ景品表示法は商品登録担当者、広告運用担当者、SNS担当者、制作会社、広告代理店など、EC運営に関わる人全体で意識しておく必要があります。

1.3. 景品表示法の対象になる範囲は意外と広い

景品表示法の対象となる「表示」は商品ページの説明文だけではありません。消費者に商品やサービスの内容・価格・条件を伝えるものは幅広く対象になります。

たとえば、ECサイトでは以下のようなものが対象になります。

 

対象になる表示 ECサイトでの具体例
商品ページ 商品名、商品説明文、スペック、価格、画像内の文言
LP・バナー キャンペーン訴求、割引率、限定表現、比較表現
メルマガ セール告知、クーポン案内、期間限定キャンペーン
SNS投稿 商品紹介、キャンペーン告知、口コミ風の投稿
広告 リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告、動画広告
外部メディア アフィリエイト記事、レビュー記事、インフルエンサー投稿

 

また、「商品購入者にプレゼントを付ける」「抽選で景品を用意する」「ポイントを付与する」といった施策も内容によっては景品表示法の「景品類」の規制対象になる場合があります。つまり、ECサイトで行う販促活動の多くは、何らかの形で景品表示法と関係しています。

 

大切なのは、「これは広告だから注意する」「これは商品ページだから大丈夫」と分けて考えないことです。消費者が購入を判断するために見る情報であれば、すべてチェック対象になると考えておくと安全です。

 

2. ECサイトで問題になりやすい景品表示法の不当表示

ECサイトで問題になりやすい景品表示法の不当表示

景品表示法では、消費者に誤解を与える表示が禁止されています。

 

ECサイトでは、商品ページやLP、バナー広告、メルマガ、SNS投稿など様々な場所で商品やサービスの魅力を伝えます。そのため、意図的にだますつもりがなくても、表現の仕方によっては「実際よりも良く見える」「実際よりもお得に見える」と判断されることがあります。

特にEC運営で注意したい不当表示は、大きく分けて次の3つです。

 

不当表示の種類 内容 ECサイトで起こりやすい例
優良誤認表示 商品やサービスの品質・内容を、実際よりも著しく良く見せる表示 根拠のない「満足度No.1」「飲むだけで痩せる」「最高品質」など
有利誤認表示 価格や取引条件を、実際よりも著しくお得に見せる表示 実態のない通常価格からの割引、常時送料無料なのに「今だけ送料無料」と表示するなど
指定告示にあたる表示 優良誤認・有利誤認以外で、消費者を誤解させるおそれがあるとして指定されている表示 おとり広告、広告であることを隠した口コミ・レビュー投稿など

 

ここでは、それぞれの内容と、ECサイトで特に注意したいポイントを見ていきます。

2.1. 優良誤認表示:商品を実際よりも良く見せていないか

優良誤認表示とは、商品やサービスの品質・規格・内容などについて、実際よりも著しく優れていると消費者に誤解させる表示のことです。

ECサイトでは消費者が商品を直接確認できないため、商品説明文や画像、レビュー、広告文の印象が購入判断に大きく影響します。そのため、少し強めに書いただけつもりの表現でも根拠がなければ問題になる可能性があります。

たとえば次のような表現には注意が必要です。

  • 客観的な根拠がないのに「売上No.1」「満足度No.1」と表示する
  • 調査条件を示さずに「多くのお客様に選ばれています」と強調する
  • 健康食品で「飲むだけで痩せる」「必ず効果が出る」と表示する
  • 化粧品で認められている範囲を超えて効果効能をうたう
  • 個人の感想を誰にでも同じ効果があるように見せる

特に「No.1」「最上級」「最高品質」「必ず」「絶対」などの表現は目を引きやすい一方で、根拠を求められやすい表現です。
使う場合は、調査データ、試験結果、販売実績、メーカー資料など、第三者に説明できる根拠があるかを事前に確認しておく必要があります。また、メーカー資料に基づく表示であったとしても各プラットフォームで制限されている表現もあります。サービスを利用して商品を出品する際は、あらかじめプラットフォームのルールもよく確認するようにしましょう。

2.1.1. 「根拠を出せるか」を公開前に確認する

優良誤認表示が疑われた場合、表示の裏付けとなる合理的な根拠資料の提出を求められることがあります。

 

たとえば、商品ページで「防臭効果が長時間続く」と書くのであれば、その効果を裏付ける試験データやメーカー資料が必要です。「社内で使ってみて良かった」「お客様から好評だった」という感覚だけでは十分な根拠とはいえない場合があります。

 

ECサイトでは、商品登録や広告制作のスピードを優先して根拠資料の確認が後回しになることもあります。しかし、あとから説明できない表現を公開してしまうと、商品ページの修正だけでは済まないリスクがあります。

公開前に、次のような確認をしておくと安全です。

 

確認項目 確認内容
効果効能 表示している効果を裏付ける資料があるか
No.1表示 調査主体・調査期間・対象者・比較対象を説明できるか
素材・成分 商品仕様やメーカー資料と表示内容が一致しているか
口コミ・レビュー 個人の感想を一般的な効果のように見せていないか
画像内の文言 バナーやLP画像の中にも誇大な表現が入っていないか

 

商品ページ本文だけでなく、画像内のキャッチコピー、LPの見出し、広告バナー、SNS投稿まで確認することが重要です。

2.2. 有利誤認表示:実際よりもお得に見せていないか

有利誤認表示とは、商品やサービスの価格や取引条件について「実際よりも著しく有利である」つまり「実際よりもお得だ」と消費者に誤解させる表示のことです。

ECサイトではセールやキャンペーンを頻繁に行うため、有利誤認表示のリスクが高くなりやすいです。

特に注意したいのが、次のような表現です。

  • 通常価格10,000円のところ、今だけ5,000円
  • メーカー希望小売価格より30%OFF
  • 本日限定送料無料
  • 先着100名様限定プレゼント
  • 今だけ特別価格
  • 残りわずか
  • 期間限定キャンペーン

これらの表現自体がすべてNGというわけではありません。問題になるのは表示している内容と実態が合っていない場合です。

たとえば、過去に10,000円で販売した実績がほとんどないのに「通常価格10,000円」と表示し、そこから大幅に値引きしているように見せると、消費者は「今買うとかなり得だ」と誤解する可能性があります。

また、いつも送料無料で販売しているにもかかわらず「今だけ送料無料」と表示すると、実際には限定された特典ではないのに、今だけの特別条件であるかのように見えてしまいます。

2.2.1. 二重価格表示は特に注意が必要

ECサイトでよく使われる「通常価格」「参考価格」「メーカー希望小売価格」と現在の販売価格を並べる表示を、二重価格表示といいます。

二重価格表示は、正しく使えば商品の安さを分かりやすく伝えられる方法です。しかし、比較対象となる価格に実態がない場合は「有利誤認表示」にあたるおそれがあります。

たとえば、以下のようなケースは注意が必要です。

 

表示例 注意点
通常価格10,000円 → 5,000円 販売開始時から一度も10,000円で販売していない場合や、ごく短期間だけ高い価格を設定していた場合は実態のない価格を比較対象にしていると判断されるおそれがあります。過去の販売期間、販売価格、販売数量などを確認し、説明できる状態にしておきましょう。
メーカー希望小売価格より30%OFF メーカー希望小売価格が、メーカーの公式サイトやカタログなどで一般消費者向けに公表されているかを確認します。社内資料や卸先向け資料にだけ記載されている価格を使うと「消費者にとって確認できない価格との比較」になってしまう可能性があります。
参考価格15,000円 「参考価格」が「何を根拠にした価格なのか」を明確にする必要があります。市場価格、過去の販売価格、メーカー資料など、根拠があいまいなまま表示すると、実際よりも大きく値引きされているように見えるおそれがあります。
期間限定50%OFF セール終了後も同じ価格で販売を続けている場合や、同じキャンペーンを繰り返し実施している場合は「今だけお得」と消費者に誤解させる可能性があります。開始日・終了日・対象商品を明確にし、広告・LP・商品ページで表示を統一することが大切です。
数量限定セール 十分な在庫があるにもかかわらず「残りわずか」と表示したり、限定数量を明示していないのに強く限定感を出したりすると、消費者の購入判断を急がせる表示と見られるおそれがあります。

 

価格表示は売上に直結するため、つい強く見せたくなる部分です。しかし、割引率や限定感を強調するほど根拠の確認も重要になります。
「本当にその価格で販売していたか」「いつからいつまでのキャンペーンなのか」「比較対象価格を説明できるか」を公開前に確認しておきましょう。

2.3. 指定告示:ステマやおとり広告にも注意する

景品表示法では、優良誤認表示や有利誤認表示のほかにも、消費者を誤解させるおそれがある表示が禁止されています。

ECサイトで特に注意したいのが、ステルスマーケティングとおとり広告です。

2.3.1. ステルスマーケティング規制

ステルスマーケティングとは、広告であるにもかかわらず広告であることを隠して、一般の口コミや感想のように見せる行為です。

たとえば、EC事業者がインフルエンサーに商品を提供しSNSで紹介してもらう場合、その投稿が広告・PRであることを消費者が分かるように表示する必要があります。

次のようなケースでは、PR表記の有無や表示位置に注意が必要です。

  • インフルエンサーに商品を無償提供して紹介してもらう
  • アフィリアイターに商品レビュー記事を書いてもらう
  • SNSで口コミ風の投稿を依頼する
  • モニター投稿として商品を紹介してもらう
  • ランキング記事や比較記事で自社商品を優位に紹介してもらう

「#PR」「広告」「プロモーション」などの表記は消費者が分かりやすい位置に表示することが重要です。投稿文の最後に大量のハッシュタグと並べて小さく入れるだけでは、十分に伝わらない可能性があります。

また、ステマ規制で責任を問われるのは原則として投稿者本人ではなく、広告主である事業者側です。外部のインフルエンサーやアフィリエイターに依頼する場合でも「投稿者に任せていた」では済まない点に注意が必要です。

2.3.2. おとり広告

おとり広告とは、実際には購入できない商品や、販売する意思・在庫が十分にない商品を広告やサイトに掲載し、消費者を誘引する表示のことです。

ECサイトでは、次のようなケースに注意が必要です。

  • 在庫がない商品を、購入できるように見せたまま掲載している
  • 実際にはごく少数しか用意していない商品を大きく広告している
  • セール対象と表示しているのに、実際にはほとんど購入できない
  • 人気商品を目玉として掲載し、別の商品へ誘導している
  • 販売終了後も広告やLPを出し続けている

在庫切れや販売終了が発生すること自体は、EC運営では避けられない場合もあります。問題は、購入できない状態になっているのに広告や商品ページ上では購入できるように見えてしまうことです。
広告、商品ページ、在庫情報、LP、メルマガの内容がずれていないかを定期的に確認することが大切です。

2.4. ECでは「ページ単体」ではなく導線全体で確認する

景品表示法のチェックでは、商品ページだけを見ればよいわけではありません。

たとえば、広告バナーでは「今だけ半額」と表示しているのに、商品ページではキャンペーン条件が分かりにくい場合、消費者は誤解したまま購入してしまう可能性があります。

ECサイトでは、次のように複数の露出先が存在することが多いです。

  • 広告
  • SNS投稿
  • メルマガ
  • LP
  • 商品ページ
  • カート画面
  • キャンペーンページ
  • レビュー・口コミ
  • アフィリエイト記事

そのため、景品表示法の確認は「1ページごとの表現チェック」だけでなく、「消費者が購入までに見る情報全体」で考える必要があります。

特に広告やSNSでは強い表現を使い、商品ページで条件を小さく補足するような形は注意が必要です。重要な条件や制限は、消費者が認識しやすい場所に分かりやすく表示しましょう。

ECサイトの表示で大切なのは「魅力的に伝えること」と「誤解なく伝えること」の両立です。売上につながる表現であっても根拠や条件を説明できない場合は公開前に見直す必要があります。

3. 景品表示法違反を防ぐためのECサイト運用対策

景品表示法違反を防ぐためのECサイト運用対策

景品表示法の違反は、悪意がある場合だけで起こるわけではありません。

ECサイトでは、商品登録、バナー制作、広告運用、メルマガ配信、SNS投稿、キャンペーン設定など、日々多くの作業が発生します。その中で、担当者の確認漏れや、社内での情報共有不足、外部パートナーとの認識違いによって、意図せず問題のある表示になってしまうことがあります。

たとえば、次のようなケースです。

  • 商品ページの価格は修正したが、広告バナーの価格が古いままになっている
  • メルマガでは「全品送料無料」と書いたが、実際には一部地域が対象外だった
  • 外部パートナーが、根拠のない「満足度No.1」表現を使っていた
  • インフルエンサー投稿にPR表記が入っていなかった
  • セール終了後も「期間限定価格」のLPが公開されたままだった

このようなミスを防ぐには、担当者個人の注意だけに頼るのではなく、社内のルールや確認フローとして管理することが重要です。

3.1. 表示チェックの基準を社内で統一する

まず必要なのは、「どのような表現に注意すべきか」を社内で共有することです。
景品表示法の細かい条文を全員が理解するのは難しくても、EC運用で使いやすいチェック基準を作っておけば、日々の確認がしやすくなります。

たとえば、以下のような項目を社内ルールとして整理しておくとよいでしょう。

 

確認項目 チェック内容
価格表示 通常価格、参考価格、メーカー希望小売価格の根拠を確認する
割引表示 割引率や比較対象価格に実態があるか確認する
限定表現 「今だけ」「期間限定」「数量限定」が実態と合っているか確認する
No.1表示 調査主体、調査期間、対象人数、比較対象を確認する
効果効能 表現の根拠となる資料があるか確認する
レビュー・口コミ 個人の感想を一般的な効果のように見せていないか確認する
PR投稿 広告・PRであることが分かりやすく表示されているか確認する
キャンペーン条件 対象商品、期間、適用条件が分かりやすく書かれているか確認する

 

特に、商品ページや広告でよく使う表現については、「使用してよい表現」「注意が必要な表現」「原則として避ける表現」を分けておくと、担当者が判断しやすくなります。

たとえば、以下のような整理です。

 

表現の種類 対応方針
使用しやすい表現 「当社従来品と比較」「メーカー資料に基づく」 根拠資料とセットで使用する
注意が必要な表現 「No.1」「最安値」「高評価」「選ばれています」 調査条件や根拠を確認してから使用する
避けたい表現 「必ず効果が出る」「絶対に痩せる」「業界最高品質」 根拠があっても断定的すぎるため慎重に扱う

 

このような基準を作っておくことで、担当者ごとの判断のばらつきを減らせます。

3.2. 公開前のチェックフローを決めておく

景品表示法のリスクを減らすには、公開前の確認フローを決めておくことも大切です。
この時に作成担当者だけで判断せず、別の担当者や責任者が確認する体制にしておくと安心です。

 

公開前チェックでは、文章だけでなく、画像内の文言、注釈、リンク先、カート画面まで確認することが重要です。
たとえば、広告バナーに「送料無料」と書かれていても、商品ページやカート画面で一部地域の送料が分かりにくい場合、消費者に誤解を与える可能性があります。

チェックフローは、次のように役割を分けると運用しやすくなります。

 

担当者 主な確認内容
作成担当者 表現が社内ルールに沿っているか、誤字脱字や条件の抜け漏れがないかを確認する
EC運用責任者 価格、キャンペーン条件、在庫、対象商品など、実態と表示が合っているか確認する
広告・販促担当 広告、LP、メルマガ、SNSの訴求内容が一致しているか確認する
法務・管理部門 No.1表示、効果効能、ステマ規制など、法的リスクが高い表現を確認する

 

すべての表示を法務部門が細かく確認するのは、現実的に難しい場合もあります。その場合は、リスクの高い表現だけを事前相談の対象にするなど、運用しやすいルールにすることが大切です。

3.3. 根拠資料を残しておく

景品表示法の対策では、「表現をどう書くか」だけでなく、「その表現の根拠を説明できるか」が重要です。
たとえば、以下のような表示を使う場合は、根拠資料を保存しておく必要があります。

 

表示例 保存しておきたい資料
売上No.1 売上データ、調査資料、対象期間、比較対象
満足度No.1 アンケート調査結果、調査主体、調査期間、回答者数
防臭効果が続く 試験データ、検査機関の資料、メーカー資料
通常価格から50%OFF 過去の販売価格、販売期間、販売実績
メーカー希望小売価格より安い メーカー公式サイト、カタログ、価格資料
期間限定キャンペーン キャンペーン期間、対象商品、設定内容

 

EC運用では、商品ページや広告を更新するたびに過去の表示内容が分からなくなることがあります。しかし、あとから確認が必要になった場合に備えて、以下のような情報を残しておくと安心です。

  • 公開したページやバナーの内容
  • 公開日・終了日
  • 使用した価格や割引率
  • キャンペーン条件
  • 根拠となるデータや資料
  • 承認者や確認履歴

特に、商品ページやLPは更新頻度が高いため、公開時点のスクリーンショットや管理画面の履歴を残しておくと、あとから確認しやすくなります。
「根拠があるから大丈夫」ではなく、「必要なときにすぐ説明できる状態にしておく」ことが大切です。

 

3.4. 外部パートナーにもルールを共有する

EC運営では、広告代理店、制作会社、ライター、デザイナー、アフィリエイター、インフルエンサーなど、外部のパートナーに業務を依頼することがあります。
しかし、外部の人が作成した広告や投稿であっても、景品表示法上の責任は広告主であるEC事業者側に及ぶ可能性があります。

そのため、外部パートナーに任せきりにせず、事前にルールを共有しておくことが重要です。

 

 

4. 景品表示法に違反するとEC事業者に何が起きるのか

景品表示法に違反するとEC事業者に何が起きるのか

景品表示法に違反した場合、問題になるのは「該当する表示を修正すれば終わり」という話ではありません。

景品表示法違反と判断されると、行政処分や課徴金の対象になるだけでなく、消費者からの信頼低下、広告停止、返金対応、社内外への説明対応など、EC運営全体に大きな影響が出る可能性があります。

 

特にECサイトでは表示が購入判断に直結します。商品を直接確認できない分、消費者はページ上の説明、価格、レビュー、広告表現をもとに購入を決めます。そのため、不当表示があった場合は「表示が少し大げさだった」では済まず、消費者の判断を誤らせたものとして問題になります。

4.1. 措置命令を受ける可能性がある

景品表示法に違反する表示があった場合、消費者庁や都道府県知事から措置命令を受けることがあります。

措置命令とは、違反した表示をやめるだけでなく、消費者に誤認を与えたことを周知し再発防止策を講じるよう求められる行政処分です。

たとえば、次のような対応が必要になる場合があります。

  • 問題となった表示の取りやめ
  • 商品ページ、LP、広告、バナー、メルマガなどの修正
  • 消費者に対する誤認排除の周知
  • 再発防止策の作成
  • 社内の表示管理体制の見直し
  • 広告代理店や制作会社との運用ルールの見直し

ECサイトの場合、ひとつの商品ページだけでなく広告、SNS、アフィリエイト記事、キャンペーンページなど複数の媒体に同じ訴求が展開されていることがあります。
そのため、表示修正の範囲が広がりやすく、短期間で多くの確認・修正作業が発生します。

また、措置命令を受けると企業名や違反内容が公表されることがあります。「消費者に誤解を与える表示をしていた」と公になることは、売上だけでなくブランドイメージにも大きく影響します。

4.2. 課徴金納付命令の対象になることがある

優良誤認表示や有利誤認表示を行った場合、課徴金納付命令の対象になることがあります。

課徴金は、対象となった商品やサービスの売上額をもとに算定されます。消費者庁の資料では、課徴金額は対象商品・役務の売上額に3%を乗じて算定し、対象期間は3年間を上限とするとされています。

たとえば、特定の商品について問題のある表示を長期間掲載し、その商品がECサイトで大きく売れていた場合、対象期間の売上額が大きくなるほど課徴金の負担も重くなります。

ECサイトでは、広告運用やキャンペーンによって短期間で売上が伸びることがあります。そのため、問題のある表示を使った商品がヒットしてしまうと、あとから大きなリスクになる可能性があります。

注意したいのは、悪意がなかったとしても、表示の根拠確認や管理体制が不十分だった場合には問題になり得ることです。

  • 「メーカー資料を見ずに書いた」
  • 「過去の販売価格を確認せずに割引表示をした」
  • 「外部のアフィリエイターに任せていた」

このような運用上の確認不足が、結果として景品表示法違反につながることがあります。

4.3. 令和6年10月施行の改正で、違反への対応はより厳しくなっている

景品表示法は、令和6年10月1日に改正法の一部を除く規定が施行されています。消費者庁の説明では、改正により、確約手続の導入、課徴金制度の見直し、罰則規定の拡充などが行われています。

特に、EC事業者が押さえておきたいポイントは次の3つです。

 

改正のポイント 内容
確約手続の導入 事業者が自主的に是正措置計画を申請し、認定を受けた場合、措置命令・課徴金納付命令の適用を受けない制度が設けられた
課徴金の割増規定 違反行為から遡って10年以内に課徴金納付命令を受けたことがある事業者には、課徴金額を1.5倍に加算する規定が設けられた
直罰規定の新設 優良誤認表示・有利誤認表示に対して、100万円以下の罰金という直罰規定が新設された

 

消費者庁の改正概要では、課徴金の割増規定や、優良誤認表示・有利誤認表示に対する直罰規定の新設が示されています。

つまり、景品表示法違反は「指摘されたら直せばよい」というものではなくなっています。問題が起きたときに早く是正できる体制を整えることはもちろん、そもそも違反を起こさないための表示管理がより重要になっています。

4.4. 刑事罰の対象になる場合もある

景品表示法では、措置命令に従わなかった場合などに刑事罰の対象となることがあります。

消費者庁の資料では、措置命令に違反した者には2年以下の懲役または300万円以下の罰金が科されることがあり、事業者にも3億円以下の罰金刑が科されるとされています。

 

もちろん、すべての表示ミスが直ちに刑事罰につながるわけではありません。しかし、故意に事実と異なる表示をした場合や、指摘を受けても改善しない場合は、より重いリスクになると考えておく必要があります。

4.5. 広告停止・返金対応・社内対応の負担が発生する

景品表示法違反のリスクは、行政処分や課徴金だけではありません。
EC事業者にとって現実的に大きな負担になるのが、違反発覚後の対応です。

たとえば、次のような対応必要になる可能性があります。

  • 問題のある商品ページやLPの修正
  • 広告配信の停止
  • バナー、メルマガ、SNS投稿の削除・修正
  • アフィリエイト記事や外部レビュー記事の確認依頼
  • 購入者への説明
  • 返金や返品対応
  • コールセンターや問い合わせ対応
  • 社内調査
  • 再発防止策の作成
  • 取引先、広告代理店、制作会社への説明

このように、場合によっては売上以上のコストが発生してしまう場合もあります。

景品表示法違反のリスクを減らすためにも、日々の運用の中で、根拠のある分かりやすい表示を心がけましょう。

5. まとめ:ECサイトの表示は「売れる表現」と「説明できる表現」の両立が大切

まとめ:ECサイトの表示は「売れる表現」と「説明できる表現」の両立が大切

 

景品表示法の対策は、すべての表現を控えめにすることではありません。商品の魅力をきちんと伝えることは、ECサイト運営において欠かせない要素です。

 

大切なのは、売れる表現を考えるときに、同時に「消費者に誤解を与えないか」「あとから根拠を説明できるか」を確認することです。

そのためには、商品ページを作成する担当者だけでなく、広告運用担当者、SNS担当者、制作会社、広告代理店、アフィリエイター、インフルエンサーなど、EC運営に関わる人全体でルールを共有しておく必要があります。

 

まずは、よく使う表現からチェックリストを作り、公開前に確認する流れを整えることから始めましょう。
こうした確認を日々の運用に組み込むことで、景品表示法違反のリスクを減らしながら、消費者に安心して購入してもらえるECサイトを作ることができます。

 

判断に迷う時は、自社の法務部門や顧問弁護士へ相談し、ユーザーファーストで法令を守った表示を心がけましょう。

 

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