京都東山の老舗料亭 京大和様
料亭「京大和」のWebサイトをリニューアルしてから3週間たち、その後の状況をお聞きすべく、京大和の若女将、阪口友美子様に、インタビューを行いました。
その後、Webサイトからの申込みも順調に推移しているようです。
Webサイトリニューアル後の状況だけでなく、リニューアル前に悩んでいたことなども語ってくれました。
- リニューアルしてから、約3週間経ちましたが、どのくらいの成果があがっていますか?
阪口:リニューアルして3日後に、8名の団体のお客様が、昼膳の一番高いコースをお申し込みくださいました。これまでWebサイトからのお申込みを受けたことが無かったので、これには驚きました。1週間後にも、とある地方の企業が40名という団体でお申し込みくださいました。その以外にも、若いカップルとか、ウェディングのお問い合わせとか、順調に反応があります。最近は、毎日、お申し込みのメールを確認するのが楽しみになっています。
- それは素晴しいですね!私も非常に嬉しいです。 それでは、少し、以前のリニューアル前のWebサイトについて、お聞かせください。 いつごろ、何と言う業者に発注して立ち上げたものですか?
阪口:立ち上げは2001年12月です。当時、Webサイトとパンフレットの制作を外注しようとしていました。そんな時、SEをやっていた友人が、とある制作会社に転職し、Webサイト制作をするということで、その会社にWebサイトとパンフレットを発注することにしました。しかし、予算的な折り合いがつかず、最終的にはウェディングのパンフレットだけそこに発注し、Webサイトは友人が個人的に請けてくれました。
- 最終的にはいくらぐらいかかったのですか?
阪口:ウェディングのパンフレットが100万円かかりました。このパンフレット制作については、何かと理由を付けては、どんどん値段があがっていくので、最後は料金交渉が大変でした。
そんなこともあって、Webサイトの方は友人が無償で作ってくれました。
- そうですか。パンフレットは大変でしたね。Webサイトの方は、どんな感じで制作を進めていったのですか?
阪口:最初に、どんな素材があるのか確認するために、私たちが持っている写真類を全部渡して、それをもとに友人がサイトマップを作りました。そして、そのサイトマップをもとに、各ページのテキストを在りもののパンフレットから引用して私が作り、あとは全て友人におまかせしました。この方法は、たぶん、通常の制作会社のWebサイト作りと一緒ですよね?
- はい、普通はそのやり方です。ちなみに、何か、制作時のコンセプトとかビジョンみたいなものがあったと思うんですけど、それを教えて下さい。
阪口:そういうのは無かったです。当時、とにかくWebサイトを立ち上げるということが目的になっていましたし、私もよくわかっていませんでしたので、友人にまかせっきりでした。
デザイン的には、少しイメージが堅いかなというのもあったのですが、友人も無償でやってくれていたので、言いづらいというのもありました。今思えば、多少の金額を払ってでも、きちんと仕事として発注すべきだったと反省しています。
- リニューアル前は、Webサイトからの問い合わせ等はどの位あったのですか?
阪口:数ヶ月に1〜2回程度、電話での問い合わせがありました。もちろん、予約フォームは無かったので、現在のような予約ではありません。
- 今回、リニューアルしようと思ったきっかけは何ですか?
阪口:年初に、今年はプロモーションをします!ということを社内会議で宣言していました。それで、マスコミ各社へアプローチしていく中で、記者の方々は間違いなくWebサイトをチェックするだろうと思いました。ですから、もう少し京大和の雰囲気を表現した華やかな感じにしたかったのです。
- 弊社以外にも、何社かアプローチされていたということを以前お聞きしましたが、今回はどのような基準を持って、業者選定をされていたのですか?
阪口:前回の反省点があったので、今回、1番重視しようと思ったのはデザインです。しかし、あまり予算が無かったので、こちらでサイトマップとかテキストとか指定し、もちろん検索エンジン対策なども自分達でやって、デザインだけを外注するという形で、何とか安くデザインだけを発注しようと考えていました。
- そんな中で、何故、弊社を選んでくださったのですか?
阪口:山浦さんとお話していて、企画だけでなくテキストや写真、それから集客方法まで、デザイン以外の様々なアドバイスをもらえたこと、それでも金額はそんなに高くなかったことが発注の理由です。
- 弊社を選んでくださった際に不安だったことなどありましたら、教えてください。
阪口:不安は、いっぱいありました(笑)
一番不安だったことは、京大和のスタンスとかブランドを理解してもらえるのかどうか、という部分です。安っぽくしすぎず、かと言って高飛車でもいけません。その微妙なサジ加減が分かってもらえるかどうかです。
あと、もう1つ不安だったことが、ビジネスとプライベートという、お客様の用途別にページを分けるという考え方を最初にお話しされた時です。山浦さんは確信を持っていたようですが、私は、料理や建物だけを見たい人はどうなるの?とか、いろいろ考えてしまいました。しかし、サイトプランを見て、いらない心配だったと分かりました。
- その辺は説明不足でした。すみませんでした。
ところで、今回、テキスト素材の準備については、視点がユーザーではなくお店になってしまっているとか、何度か私の方からダメ出しをしました。こういった素材準備については、どうしてもお客様(発注者)のご協力が必要なのですが、この辺で苦労したこととかありますか?
阪口:前回の立ち上げ時は、パンフレット等にあったテキストをそのまま載せただけだったのですが、今回は、京大和とは何か、京大和が出来ることは何なのか、ということを本当によく考えました。
例えば、「京大和はかけがえのない時間を提供する」ということを考えた時、かけがえのない時間そのものは、お客様がお連れのお客様とともに作り上げるものなのですね。私たちがそれ自体を提供できるわけではなくて、そのお手伝いをするということです。その為の料理であり、建物やサービスを含めた舞台装置は、他店には負けないものを持っていると自負しています。
そういった、京大和のうりといいますか、PRのポイントをすごく考えるきっかけになりました。
また、今回のリニューアルを期に、コースのラインナップを増やしました。お客様がどんな時に京大和を使うかを考えた時に、さらに高級な料理とサービスのあるコースが必要だと感じたからです。2万5千円のコースなのですが、予想は当たって、インターネットからこのコースの申込みやお問い合わせが順調に入ってきています。先日は、若いカップルがご予約くださったのは驚きました。
- なるほど。そういう発想は、やはり事業をやっている本人だから出てくるものですね。制作者はなかなかそこまでは踏み込めませんから。
お客様や社員の皆様の反応はいかがですか?
阪口:お客様の反応を一番表しているのは、この申込みの数字だと思います。
あとは、実際にご来店された際に「このお部屋は、シラク大統領がいらしたところなのですか?」とか、ご質問いただいたりします。シラク大統領のお話は、Webサイトにしか載せていませんからね。
その他にも「Webサイトを見て」という方が結構いらっしゃいます。常連さんからも「Webサイト変わったね〜!」と言われます。
これだけ反応があると、スタッフのWebサイトへの意識も随分変わってきたように思います。以前は、打ち合わせなどでホームページのリニューアルの話などをしても、よく分からないようでしたが、今ではWebサイトでの展開にも興味を持って聞いてくれているようです。特に、調理場の方々はやはり職人気質的な部分があって、例えば写真協力とかお願いしづらいところもあったのですが、今はとても協力的です。インターネットからの予約数とか、話題にしてくれているようです(笑)。来月のメルマガから、料理長のオススメという新コーナーを設けるんですよ!
- それは良かったですね(笑)。そういうのを聞くと、私も非常に嬉しいです。
今後、もっとここを改善したいとか、チャレンジしたいというものはありますか?
阪口:京林泉という姉妹店があるのですが、今は、ぐるなびに簡易な情報が載せてあるだけですので、Webサイトをきちんと作りたいと思っています。あとは、イベントに関するお問い合わせが多いのですが、Webサイトの方には、イベントの年間スケジュールしか掲載されていないので、こちらもきちんと告知のページを作りたいと思います。その為に、イベントの様子を、写真に撮っているところです。
- あとは、是非、イベントに参加したお客様の声を集めてください。どんなに良いセールスレターも、お客様の声にはかなわないですから。
阪口:そうですね。さっそくそうします。
- 最後に、これからWebサイトを作ろうと思っている方へ、一言お願いします。
阪口:同業者には山浦さんのノウハウをあまり知って欲しくないです(笑)
私が今回思ったのは、予算があっても丸投げしてはいけないということです。
先ほどもお話しましたが、自分達のうりというものを、真剣に考え、テキスト1字1字、熟考しました。本来なら、自分達のうりというものはもっと普段から考えていなければならないのかもしれませんが、Webサイトがきっかけで、Webサイトだけにとどまらず、お店の事を考えられたことが本当に良かったです。
それに自分達も制作に深く関わりましたから、とにかく今回のWebサイトについては、すごく愛着を持っています。本当に沢山の人に見てもらいたいです。 ですから、丸投げせずに、発注者も一緒に考える、そうすることで、結果も出て、かつ愛着の持てるWebサイトが作れるのだと思います。