「学習」と「教える」ことの難しさ

私の父は、現在64歳で、およそ40年ほど勤めた会社を数年前に退職しています。
ですがOB会のようなものがあるそうで、昨年末に父が、その会報を作成する担当となりました。
すると父が私のところへ電話で
「こういうの作るの初めてだ。分からないことがあったら教えてな」
と言ってきました。
会報はWordで組むことになっており、会報担当の前任者から、会報の作成手順やフリーの画像加工ソフトなどを教えてもらったりはしたようなのですが、最初はしきりに
「できるかなあ」
と繰り返していました。
ちなみに父は、パソコンに関しては初心者です。
しばらくして、私のところへヘルプの電話がかかってきました。
めでたく会報の原稿データも出来上がったそうなのですが、
「確認のために関係者数人にメール添付でデータを送ったところ、データを受け取れた人・受け取れない人が出てきてしまい、受け取れなかった人には結局CD-Rに焼いて郵送したが、できるだけメールで全員に送りたい。どうしたらいいか?」
とのこと。
ところが、原稿データは総合すると十数MBも容量があり、それを非圧縮で添付してしまったそう。
しかし圧縮したとしても容量が大きいので、やはり相手のメールサーバではじかれるかもしれない。
そこで、
「大容量のデータを渡せるサービスがあるよ」
と、『宅ふぁいる便』 http://www.filesend.to/ を教えました。
しかし、初心者(しかも初老)には、ユーザ登録から利用方法までもが
「わからない。難しいから嫌だ。たぶん他の皆もわからない」
ということで(笑)却下。
そこで一旦課題として置いておいて、年末に実家に帰省したときに、とりあえずフリーの圧縮ソフトを父のパソコンにダウンロードして、圧縮方法を教えました。

すると父が、
「印刷会社から、全てのページを一まとめにしたpdfが来て、これは便利だと思った。容量も軽くなるし、関係者にもそうして渡したい」
と言い出しました。
ああなるほどね、とまたフリーでpdfを書き出すソフトを探しました。
ところが1ページ単位でしか書き出してくれない(ページ連結しない)ので、さらにpdfの連結ソフトを探しました。
そして父に、Wordファイルからpdfを書き出して連結する方法を教えました。
複雑な手順になりましたが、父もそれをノートにメモしていました。

人にものごとの手順を教えるのは難しいものです。
その相手が理解できると思われるやりかたや、言葉、道具などを一度に考えなければなりません。
特にパソコンの場合、ソフトのバージョン違いだったり、あらかじめOSに設定している環境が違っていたりするだけで混乱することもありますし、
「本当はもっと簡単な方法があるのに…」
と思っても、相手がすでにやりやすいと思っている方法があった場合、それに沿った応用法を考えたほうが、効率が良かったりもします。
教えるほうも、めまぐるしく頭を使います。

さて、初めての原稿が印刷された会報が届き、父が「どう?」と、ちょっと嬉しそうに見せてくれました。
会社での仕事を終えた父が、こういったクリエイティブなことで喜びを感じていることは、私も嬉しく思います。
ちなみに父が若い頃、まだ日本では電算機(コンピュータ)がほとんど普及していなかった頃に、会社に初めて導入されたIBMの電算機を扱うための人員として入社し、プログラマー、またSEとして多忙な日々を送ったようです。
パソコンに関してはかなり恐々と触っていますが、昔も今も勉強している父には感心しきりです。

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