ツール導入で失敗する会社

MarkeZine Day セッション風景昨日、MarkeZine Dayという翔泳社のイベントに参加してきました。
ネットマーケティングに関するセッションを朝から晩まで行うイベントです。
3ヶ所の会場で同時に3本、それが朝から晩まで7コマ、計21コマあり、興味のある講演を選択することができます。

会場は“御茶ノ水ソラシティ”。500人ぐらい入りそうなセッション会場にも関わらず、ほとんどのセッションが満員になっていたので、なかなかの盛況ぶりでした。

MarkeZine Dayのタイムテーブルを見てみると、今のWebマーケティングのトレンドが分かります。その中で特に重要なキーワードをあげると次の3つです。

①オムニチャネル

②データ分析
③マーケティングオートメーション

簡単に用語だけ説明すると、①のオムニチャネルというのは、簡単に言えば、ネットだけでなくリアルも含めた複数のチャネルを統合することです。ネットでもリアルでも同じように買い物できるのはもちろんのこと、顧客管理や在庫管理などについても一元的に行う試みです。いつでも簡単にネット環境を持ち出せるスマホの普及で、特に小売業にとっては注目度の高いキーワードになっています。

②のデータ分析については、各種マーケティングデータや今流行りのビックデータを分析して、マーケティングに使えるデータにしてくものです。

③のマーケティングオートメーションというのは、その分析したデータをもとに行うマーケティングを、いかに自動化していくかというものです。これまでのマーケティングは、どの顧客も一律のマスマーケティング的な対応が主でしたが、ITの技術を使って、営業マンが行う1対1の個客対応のごとく、できるだけきめ細かい対応を人手をかけずに自動的に行おうとするものです。

このイベントのスポンサーのほとんどは、例えば“セールスフォース”といったような、上記のようなマーケティングを行うためのプラットフォームをクラウド環境で提供している企業がほとんどでした。

各セッションにおける講師も、それらのスポンサー企業の責任者です。

ということで、セッション後半は大体は自社製品の紹介になるのですが、本当にどのクラウドツールもよく出来ていて、いろいろなことができるわけです。

問題は、それをユーザー企業がそれをきちんと使いこなせるのか???ということです。

どのクラウドツールの企業も「結局、それを使う人や組織が今後の課題だ」と口を揃えて語っていました。

当社も一時期セールスフォースを入れていたことがあります。

そこそこ使っていたけれども、結局、それまでExcelで管理していた内容を逸脱するものではありませんでした。
多少便利にはなりましたが、毎月の利用料もバカにならないので、結局解約してしまい、またExcelの管理に戻ってしまいました。

これは、セールスフォースが悪いのではなくて、私たちに使いこなす能力もニーズも見出せていなかったということです。

セールスフォースをはじめ、最近のクラウドツールは本当に多機能でいろいろなことができます。

しかし、多機能ということは、反面、操作画面も複雑になるということです。
複雑であれば、そのツールの使い方を学ぶための学習が必要です。

それもコストになります。

学習する人の時間給はもちろん、その人がその時間を本業に費やしていたら稼げるであろう金額もコストです。

クラウドツールを導入する場合は、ツールの利用料だけでなく、このような学習コストにも目を向けた上で費用対効果を考慮する必要があります。

また、このようなツールは“うちもツールを導入しなければ”というような動機で始めてしまう企業がいますが(しかもそういう企業は結構多い)、それは完全に間違っています。

本来の姿は、お客さんや自社のニーズありきでなれけばなりません。

「○○がしたいから、○○できるツールを導入したい」というような目的をもって導入するのが健全な姿です。

昨日のセッションで興味深い例が紹介されていました。

とあるスポーツ用品店のECサイトでは、バスケットボールのエリアばかり見ている人は、バスケットボール関連製品しか興味ないということが店舗運営を通じて分かっていたそうです。ですから、Webサイトでも、バスケットボール関連製品ばかり見ている人には、トップページなどでバスケットボール関連の情報を前面に出すような、その人だけのカスタマイズをツールを使って行うようにしたら、利便性があがり売上げ増加につながったそうです。

まずは自社のお客さんをよく見て、何を知りたいのか、どんな風に扱われたら喜ぶのかをよく観察します。その上でこういうことができたら良いのではないか?という仮説を立てて、じゃあそれを実現ためにはどんなツールや技術を使えばよいのか、という順番で考えていきます。

決して、ツールありきではありません。

お客さんありき、自社のニーズありきなのです。

ツールを導入することが目的になってはいけません。

最近はいろいろ魅力的なツールがたくさんあるので、なおさら自らを戒める必要があります。
ついつい目移りしてしまいがちな新しいもの好き、テクノロジー好きの人は要注意です。
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