マーケティング・オートメーションが導く未来

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近代はオートメーション=自動化の時代と呼ばれています。あなたがもし、オフィスや家の書斎でこの記事を読んでいるとしたら、辺りをぐるりと見回してみましょう。温度や湿度を感知して調節してくれるエアコン、不使用時に自動でスリープしてくれるパソコン。床のゴミを吸い取りながら進み、その後自動で充電ドックへ帰っていくお掃除ロボットはまさにオートメーションの極みといえます。

日本人が待ち焦がれていたネコ型ロボットまではいかなくとも、SF物語に近いようなサービスやロボットが次々と登場し、現代に生きる私達の生活をより豊かにしてくれています。

オートメーションの波はビジネスの世界にもやってきています。マーケティング・オートメーションはこれまでマーケティング担当者が担ってきた様々な業務を自動化する取り組みです。顧客を細かく観察・分析するマーケティングの業務と、人間を介さず一定の法則によって物事を判断するオートメーション・プログラムは、これまで相容れない組み合わせのように思われてきました。しかし欧米ではマーケティング・オートメーションは当たり前のように取り入れられている考え方であり、ようやく日本でも盛り上がりはじめています。

マーケティング・オートメーションは魔法ではなく武器である

マーケティング・オートメーションはすべてのマーケティング関連業務を自動化し、マーケティング担当者の仕事を根こそぎ代行してくれる魔法・・・では、ありません。それはむしろ、これまでマーケティング担当者を苦しめてきたような非効率的な作業を切り離し、部分的に自動化することで、彼らに余裕と安息を与えてくれる武器と考える方が良いでしょう。

近年のマーケティング、特にデジタルマーケティングが目覚ましい速度で複雑化し、顧客一人一人のデータと向き合う重要性がより高まっていることについては、改めて説明するまでもないでしょう。マス・マーケティングで取り入れられていた手法がデジタルマーケティングで通用しない、といった話を耳にすることも少なくありません。

そのため、マーケティング担当者の仕事量は肥大化し、あれもこれもやらなければいけない苦しい状況に追い込まれています。もはやPDCAサイクルを正確に回すほどの体力は残っておらず、特にCheckやActionの部分まで手が回らないという方も多いのではないでしょうか。マーケティング・オートメーションはそんな肥大化した業務を細かく切り分け、部分的にプログラムが代行することで効率化を測る仕組みです。

ECサイトのメルマガマーケティング例

それではECサイトでのメルマガマーケティングを例に、マーケティング・オートメーションについて解説しましょう。

あるECサイトのユーザーの購入履歴から、主に生鮮品を購入しているユーザー、飲料を購入しているユーザー、生活雑貨を購入しているユーザーに振り分けるとします。そして彼らに対し、それぞれの興味に近いメルマガを配信します。生鮮品を購入しているユーザーには生鮮品のセール情報を、飲料を購入しているユーザーには新しい飲料の紹介といった具合です。

これはメルマガマーケティングにおいて最もシンプルな、セグメンテーション(顧客分類)を使った方法です。しかしこの仕組みを全て人力で実現するとなると、意外にも相当な時間的なコストがかかってきます。購入履歴からカテゴライズする手間、それぞれを配信リスト化する手間・・・最もシンプルな仕組みでさえ、「メルマガを執筆する」以外の多くの手間がかかることが分かります。

そこで例えば、購入履歴を自動的に解析し、「生鮮品に興味のあるユーザー」「飲料に興味のあるユーザー」を振り分け、リスト化してくれるプログラムがあればどうでしょうか。その精度にこそ注意する必要はありますが、手作業による人的コストやヒューマンエラーが回避でき、担当者は肝心のメルマガ執筆に注力することが可能になります。

マーケティング・オートメーションのキモはシナリオづくり

上記の例を少しだけ展開してみましょう。

例えば生鮮品を購入したユーザーでも、購入品目と購入時期を取得することで、その時期にあった「旬」のものを買っているユーザーを抽出することが可能になります。そういった「旬」意識の強いユーザーには、季節ごとの「旬」商品をレコメンドすることで効果を生み出すことが出来るかもしれません。

マーケティング・オートメーションはそんな「シナリオづくり」が重要になってきます。とにもかくにも自動化するのではなく、何をどう自動化することで利益を得られるのか、その設計に注意して取り入れる必要があるでしょう。もしそのシナリオが的はずれなものであったのならば、いくら自動化しても意味がないどころか、誤ったプロモーションによりブランド価値を失墜させかねません。

業務の効率化は時間を生み、時間はさらなる成果を生み出します。マーケティング・オートメーションは決してリスクの少ない方法とはいえませんが、綿密なシナリオ設計の元、部分的に導入することを検討してもよい時期に来ているのかもしれません。

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