大きな変化を俯瞰し、様々な事象の本質を見る目を持つために

『ウェブは資本主義を超える ~ 「池田信夫ブログ」集成』(著) 池田 信夫 (日経BP社)
『ウェブは資本主義を超える ~ 「池田信夫ブログ」集成』

(著) 池田 信夫 (日経BP社)

1日3万ページビューを誇る池田信夫氏のブログを書籍化したものです。

我々ネット業界人は、ネット技術やトレンド、GoogleやYahooの動向といったことについては敏感ですが、ネットやデジタルに関することでも政治が絡んでくるような問題については浅学なことが多いのではないでしょうか。

この本を読むと、

デジタルに対する政府の施策や規制、大手メディアの既得権益といったものが、どんな場面で日本の成長を阻害しているのか、氏の鋭い洞察が得られます。
  • GoogleやYouTubeのような企業が日本で出てこない理由
  • なぜ日本ではコンテンツ産業が衰退していくのか
  • なぜTVは低俗番組を作りたがるのか
  • 日本ではなぜ米国のような多チャンネルが実現しないか
  • 地上デジタル放送に100億円の補助金を出すことがいかに無意味なことか
  • 格差を拡大するITの技術革新に、ついていけない日本
  • なぜいくら失敗しても「日本発の標準」づくりに懲りないのか
  • なぜe-Taxのような巨費を投じたにも関わらず使えないシステムができあがるのか
  • なぜゲームやソフトウェアは、役所が保護した分野は失敗し、無視した分野が成功したのか
などなど・・・

官僚主導の国産検索エンジンプロジェクトなんか成功するわけがないということは、ネット業界で仕事をしている人ならほとんどの人がうすうす感じていること。そういうバカバカしい事例が他にも沢山あることが分かります。

既存のテレビや新聞など、大手メディアが伝えることを鵜呑みにすることがいかによろしくないかも再認識できます。

書中、「グーテンベルクの実用化した活版印刷は、情報を教会による独占から開放し、個人を自立させた。・・・今起こっている変化がグーテンベルクに匹敵するスケールだということは、ほぼ間違いない」とありますが、こういった大きな変化の中にどっぷりつかっていると、逆に客観的に自分がどういう流れの中にいるのかが分かり辛くなったりします。

ですので、直接実務に結びつくようなものではありませんが、自分たちが渦中の大きな変化を俯瞰し、様々な事象の本質を見る目を持つために、ネット業界の人に読んで欲しい一冊です。

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